第十八話 Love/Death Tragedy Aパート
―5:30―またも極寒の夜を越えることができた私は
―誰もいない蓬田駅のホームから青森行きの始発に乗り込んだ
―電車の中にも、やはり誰もいなかった
第十八話 Love/Death Tragedy
この2度目の木古内〜蟹田間を超えたことでこの旅で寒さに耐えることも無くなった
電車の中には誰もいないので、この機会にタイツを脱ぐことにした
光速でブーツ、ズボンを脱ぎ、タイツを過ぎ捨てた
そして、ズボンをはき、ブーツを履きなおそうとした
と、そこで初めて気づいた
―ブーツの踵が、磨り減ってる・・・・
旅の少し前に買ったばかりのブーツ
しかしこの旅で最低でも30kmを歩いたために
その木製の6cm踵は、ブーツの踵の真ん中から足の踵の後ろ端まで斜めに
何故今まで気づかなかったのかが判らないくらいにゴッソリ削れてしまっていた
旅を続けるには、絶対に靴を買い換える必要があった
6:01、電車は青森に到着したが当然靴を売っているような店はまだ開店していなかった
7:38、青森から弘前駅へと乗り換えた
そして8:27、弘前駅に到着した
ここでの自由時間は11:17までの2時間50分
―靴を買うにはここしかない
そう思い駅から出て周辺を探すことに
すると駅のすぐ近くの国道沿いに"ジョッパル"という大型のショッピングモールが見つかった
店の前の店舗案内にも靴屋があることが書いてあった
しかし開店時間は10:00からとまだだいぶ時間があったのでそれまで国道を挟んで反対側のコンビニで時間をつぶした
―10:00、開店時間になった
私はすぐに店に入り、靴屋を探すことにした
が、探すまでもなく、入り口のすぐそばにメンズモノを売っているショップがあった
私はできるだけお金をかけないように安いものを探そうとすると、
ちょうどサイズの合う\3980の安売りのカジュアルシューズがあったのでそれを買うことにした
すぐに店内のベンチで履き替えると、靴の底が平坦で履き心地は正直あまりよくなかったが
まぁいまさら返品するのも面倒なのでコレで旅を続けることにした
その後まだ電車の時間まで時間があったので少しジョッパル内を見て回ることにした
ジョッパルのことを、"ショッピングモール"といいましたが
その実態は数年前の相次ぐ日本中のダイエーの撤退時により潰れたデパートをモールとして活用しているというようなことが書いてありました
そこは青森県有数の都市で、しかもこのジョッパルは駅からも近いにもかかわらず
京阪沿線にある"樟葉モール"や"京橋モール"と比べても、完全に寂れていました
すれ違うお客さんもまばらで、客層も若年層よりも老年層のかたが多かったです
―これもこの旅で出会ってきた数多くの"街の死"のひとつなのか―
そんな、すこし悲しい思いを持ちながら、ジョッパル内でも唯一といって良いくらいお客さんがいた本屋で
森博嗣さんの講談社文庫本化の新シリーズ「φは壊れたね」を買い、店から出た
11:17、弘前駅に予定時間通りに到着した電車に乗り秋田へ
13:51、再び訪れた秋田は、やはり女性ばかりだった
14:33、売店で買ったサンドイッチを食べながら秋田から新庄行きの電車に
そして21:24、6日目の終着駅である福島に到着した
秋田から福島まで、途中新庄、山形、米沢に乗り換えで下車したが
新庄、山形は数分しか下車しなかった
米沢では家に電話していたため特に何も無かったので割愛
福島駅に着いた私は、駅のすぐ近くにある銭湯"極楽湯福島店"に行くことにした
極楽湯は駅のすぐ近く、というか駅に隣接していたためにすぐに見つけることができた
極楽湯は、これまで入ってきたどの銭湯よりもキレイだった
カウンターで代金を払い、浴場へ
浴場の中はかなり広く、いろいろな設備、そしていろいろな人がいた
社会人や老人、こども、そして部活帰りっぽい学生で、・・・・正直うるさいほどだった
まぁそれでも、これも銭湯らしいといえばらしいなぁと思いながら体を洗い、浴槽へ
数分して、私は旭川で敗北したサウナに挑戦することにした
今度はピアスをはずし、万全の体制で臨む
サウナへの扉を開けると、あのムワッとした熱気を感じた
サウナに入り、ボーっとして数分したころだろうか・・・
―それは起こった
サウナの扉を開けて、30代くらいの男性が入ってきた
と、サウナはそこそこスペースがあるのに、なぜかすぐそばに座った
私はちょっといやな予感を感じながらも、まぁ気にすることでもないかと思った
すると、その男性が声をかけてきた
「何歳?」とか「学生?」とかそんなことだったが、私はその言葉のイントネーションや雰囲気からいやな予感が確信に変わったのを感じた
―これは、ホの人だ
私は別に同性愛者の人や、バイの人を否定はしません
しかし、私は完全にドノーマルだ
―・・・・マズイ!!
私は当たり触りのないことを答えながら、一瞬の間を見逃さず「疲れました〜」とサウナから脱出し
汗を洗い流し、即効で着替えて自販機で飲むヨーグルトを買い極楽湯から飛び出た
―た、助かった・・・・・
そう安堵した私は、まだ知らなかった
この後に起きる悲劇を―
→Bパートへ続く
